ITパスポート試験 過去問
令和6年度 問11~問20問11
品質に関する組織やプロセスの運営管理を標準化し、マネジメントの質や効率の向上を目的とした方策として、適切なものはどれか。
ア ISMSの導入
イ ISO9001の導入
ウ ITILの導入
エ プライバシーマークの取得
解説
正解
イ ISO 9001の導入
解説
ア ISMS(Information Security Management System)は、情報のセキュリティを管理するための仕組みであり、品質管理の標準化とは異なります。
イ ISO 9001は、品質マネジメントシステムの国際規格であり、組織の品質管理の標準化、マネジメントの質や効率の向上を目的としています。
ウ ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめたフレームワークです。
エ プライバシーマークは、個人情報を適切に取り扱っていることを示す認証制度であり、品質管理の標準化とは関係がありません。
問12
AIに関するガイドラインの一つである“人間中心のAI社会原則”に定められている七つの“AI社会原則”のうち、“イノベーションの原則”に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア AIの発展によって人も併せて進化するように、国際化や多様化を推進し、大学、研究機関、企業など、官民における連携と、柔軟な人材の移動を促進する。
イ AIの利用がもたらす結果については、問題の特性に応じて、AIの開発、提供、利用に携わった関係者が分担して責任を負う。
ウ サービスの提供者は、AIを利用している事実やデータの取得方法や使用方法、結果の適切性について、利用者に対する適切な説明を行う。
エ 情報弱者を生み出さないために、幼児教育や初等中等教育において、AI活用や情報リテラシーに関する教育を行う。
解説
正解
ア AIの発展によって人も併せて進化するように、国際化や多様化を推進し、大学、研究機関、企業など、官民における連携と、柔軟な人材の移動を促進する。
解説
ア イノベーションの原則に関する記述です。イノベーションの原則は、AIの発展が人間の進化とともに進むことを促進し、国際的な協力や多様性の推進、官民連携の強化などを含みます。
イ 人間中心の原則に関する記述です。AIの利用による結果について、関係者が責任を分担することが述べられています。
ウ 公平性・説明責任および透明性の原則に関する記述です。AIを利用する事実やデータの扱いについて、利用者に対して適切な説明を行うことが求められています。
エ 教育・リテラシーの原則に関する記述です。情報弱者を防ぐために教育を行うことが述べられています。
問13
金融機関では、同一の顧客で複数の口座をもつ個人や法人について、氏名又は法人名、生年月日又は設立年月日、電話番号、住所又は所在地などを手掛かりに集約し顧客ごとの預金の総額を正確に把握する作業が行われる。このように顧客がもつ複数の口座を、顧客ごとに取りまとめて一元管理する手続を表す用語として、最も適切なものはどれか。
ア アカウントアグリゲーション
イ キーマッピング
ウ 垂直統合
エ 名寄せ
解説
正解
エ 名寄せ
解説
ア アカウントアグリゲーションは、異なる金融機関にある複数の口座情報を一元的に管理する手法です。個人の財務状況を把握するために利用されますが、金融機関内での顧客管理には直接関係しません。
イ キーマッピングは、データベースで複数のキーを関連付けて管理する手法です。顧客の複数口座を一元管理するプロセスには適用されません。
ウ 垂直統合は、企業がサプライチェーンの異なる段階を統合する経営戦略です。原材料の調達から製造、流通、販売に至るまでのプロセスを一貫して管理し、効率化やコスト削減、品質管理の向上を図ることができます。顧客口座の管理には直接関係しません。
エ 名寄せは、複数のデータベースに存在する同一人物や法人の情報を統合し、重複を排除して一元管理する手法です。金融機関における顧客の複数口座の一元管理には、名寄せが適しています。
問14
ある商品の販売量と気温の関係が一次式で近似できるとき、予測した気温から商品の販売量を推定する手法として、適切なものはどれか。
ア 回帰分析
イ 線形計画法
ウ デルファイ法
エ パレート分析
解説
正解
ア 回帰分析
解説
ア 回帰分析は、2つ以上の変数間の関係を1次式などで表し、予測や推定を行う手法です。
イ 線形計画法は、線形関数を最大化または最小化するための最適化手法であり、販売量の推定には直接関係しません。
ウ デルファイ法は、専門家の意見を集めて予測を行う手法であり、具体的な数値予測には適していません。
エ パレート分析は、80:20の法則に基づいて問題を分析する手法であり、販売量の推定には直接関係しません。
問15
必要な時期に必要な量の原材料や部品を調達することによって、工程間の在庫をできるだけもたないようにする生産方式はどれか。
ア BPO
イ CIM
ウ JIT
エ OEM
解説
正解
ウ JIT
解説
ア BPO(Business Process Outsourcing)は、特定の業務プロセスを自社内ではなく外部にアウトソーシングすることを指します。生産方式ではありません。
イ CIM(Computer Integrated Manufacturing)は、製造業の全プロセスをコンピュータで統合管理するシステムを指します。在庫削減を目的とする生産方式とは異なります。
ウ JIT(Just In Time)は、必要な時期に必要な量の原材料や部品を調達することによって在庫を最小限に抑える生産方式です。在庫を持たずに効率的な生産を行うことを目指しています。
エ OEM(Original Equipment Manufacturer)は、他社ブランドの製品を製造することを指します。生産方式の一種ですが、在庫管理に直接関係はありません。
問16
RPAが適用できる業務として、最も適切なものはどれか。
ア ゲームソフトのベンダーが、ゲームソフトのプログラムを自動で改善する業務
イ 従業員の交通費精算で、交通機関利用区間情報と領収書データから精算伝票を作成する業務
ウ 食品加工工場で、産業用ロボットを用いて冷凍食品を自動で製造する業務
エ 通信販売業で、膨大な顧客の購買データから顧客の購買行動に関する新たな法則を見つける業務
解説
正解
イ 従業員の交通費精算で、交通機関利用区間情報と領収書データから精算伝票を作成する業務
解説
ア RPA(Robotic Process Automation)は、ルールベースの事務作業の自動化に適しており、ゲームソフトのプログラム改善のようなクリエイティブな作業には適用されません。
イ この内容はRPAが得意とする業務です。決まったルールに基づいてデータを処理し、伝票を作成する作業はRPAによって自動化できます。
ウ この内容はRPAではなく、産業用ロボットや自動化機械の領域です。RPAは主にソフトウェア面の業務の自動化に使用されます。
エ この内容はデータ分析や機械学習の領域です。RPAはこのような高度な分析業務には適していません。
問17
技術開発戦略において作成されるロードマップを説明しているものはどれか。
ア 技術の競争力レベルと技術のライフサイクルを2軸としたマトリックス上に、自社の技術や新しい技術をプロットする。
イ 研究開発への投資とその成果を2軸とした座標上に、技術の成長過程をグラフ化し、旧技術から新技術への転換状況を表す。
ウ 市場面からの有望度と技術面からの有望度を2軸としたマトリックス上に、技術開発プロジェクトをプロットする。
エ 横軸に時間、縦軸に市場、商品、技術などを示し、研究開発成果の商品化、事業化の方向性をそれらの要素間の関係で表す。
解説
正解
エ 横軸に時間、縦軸に市場、商品、技術などを示し、研究開発成果の商品化、事業化の方向性をそれらの要素間の関係で表す。
解説
ア 技術ポートフォリオの説明であり、ロードマップの説明ではありません。
イ 技術のSカーブの説明であり、ロードマップの説明ではありません。
ウ 技術市場マトリックスの説明であり、ロードマップの説明ではありません。
エ ロードマップの典型的な説明です。時間軸に沿って市場、商品、技術の要素間の関係を示すことで、研究開発の進行状況と商品化・事業化の方向性を明確にすることができます。
問18
コーポレートガバナンスを強化した事例として、最も適切なものはどれか。
ア 女性が活躍しやすくするために労務制度を拡充した。
イ 迅速な事業展開のために、他社の事業を買収した。
ウ 独立性の高い社外取締役の人数を増やした。
エ 利益が得られにくい事業から撤退した。
解説
正解
ウ 独立性の高い社外取締役の人数を増やした。
解説
ア ダイバーシティの向上に関する取り組みの説明であり、コーポレートガバナンスの直接的な強化とは異なります。
イ 事業戦略の一環に関する説明であり、コーポレートガバナンスの強化とは関係ありません。
ウ 独立性の高い社外取締役の増員は、経営監視機能を強化し、透明性を高めるためのコーポレートガバナンスの強化に該当します。
エ 事業ポートフォリオの見直しに関する説明であり、コーポレートガバナンスの強化とは異なります。
問19
ある銀行では、システムの接続仕様を外部に公開し、あらかじめ契約を結んだ外部事業者のアクセスを認めることによって、利便性の高い、高度なサービスを展開しやすくしている。このような取組を表す用語として、最も適切なものはどれか。
ア BPO
イ RPA
ウ オープンAPI
エ 技術経営
解説
正解
ウ オープンAPI
解説
ア BPO(Business Process Outsourcing)は、企業の業務プロセスの一部を外部の業者に委託することを指します。問題文のケースとは関係ありません。
イ RPA(Robotic Process Automation)は、ルールベースの事務作業の自動化を指します。外部事業者へのアクセスとは関係ありません。
ウ オープンAPI(Application Programming Interface)は、システムの接続仕様を公開し、外部事業者がシステムにアクセスできるようにする仕組みを指します。これにより、利便性の高い高度なサービスが展開しやすくなります。
エ 技術経営(Management of Technology)は、技術を経営資源として戦略的に活用することを指します。問題文のケースとは関係ありません。
問20
A社では、1千万円を投資して営業支援システムを再構築することを検討している。現状の営業支援システムの運用費が5百万円/年、再構築後の営業支援システムの運用費が4百万円/年、再築による新たな利益の増加が2百万円/年であるとき、この投資の回収期間は何年か。ここで、これら以外の効果、費用などは考慮しないものとし、計算結果は小数点以下第2位を四捨五入するものとする。
ア 2.5
イ 3.3
ウ 5.0
エ 10.0
解説
正解
イ 3.3
解説
まず、運用費の削減額を算出します。
年間の運用費削減:5百万円-4百万円=1百万円
問題文から新たな利益の増加が分かります。
新たな利益の増加:2百万円
つまり、年間の合計利益は以下の通り、算出できます。
年間の合計利益:1百万円+2百万円=3百万円
投資回収期間(年)は投資額 / 年間の合計利益で算出できます。
投資回収期間(年)=1千万円 / 3百万円=3.33年