ITパスポート試験 過去問
令和6年度 問21~問30問21
あるソフトウェアは、定額の料金や一定の期間での利用ができる形態で提供されている。この利用形態を表す用語として、適切なものはどれか。
ア アクティベーション
イ アドウェア
ウ サブスクリプション
エ ボリュームライセンス
解説
正解
ウ サブスクリプション
解説
ア アクティベーションは、ソフトウェアの使用を有効にするための手続きであり、利用形態とは異なります。
イ アドウェアは、広告を表示することによって収益を得るソフトウェアの形態です。
ウ サブスクリプションは、定額料金を支払うことで一定期間ソフトウェアやサービスを利用できる形態を指します。定額料金や期間による利用を表す適切な用語です。
エ ボリュームライセンスは、一定数以上のライセンスを一括で購入することで割引を受ける形態であり、利用形態とは異なります。
問22
インターネットを介して個人や企業が保有する住宅などの遊休資産の貸出しを仲介するサービスや仕組みを表す用語として、最も適切なものはどれか。
ア シェアードサービス
イ シェアウェア
ウ シェアリングエコノミー
エ ワークシェアリング
解説
正解
ウ シェアリングエコノミー
解説
ア シェアードサービスは、企業内で共通のサービスを集約して提供する仕組みを指します。
イ シェアウェアは、試用期間後に料金を支払うことで継続利用が可能なソフトウェアの形態です。
ウ シェアリングエコノミーは、個人や事業者が所有する住宅などの遊休資産を他の人々と共有し、利用する仕組みです。
エ ワークシェアリングは、労働時間を分け合って雇用を維持するための取り組みです。
問23
A社はRPAソフトウェアを初めて導入するに当たり、計画策定フェーズ、先行導入フェーズ、本格導入フェーズの3段階で進めようと考えている。次のうち、計画策定フェーズで実施する作業として、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
a RPAソフトウェアの適用可能性を見極めるための概念検証を実施する。
b RPAソフトウェアを全社展開するための導入と運用の手順書を作成する。
c 部門、業務を絞り込んでRPAソフトウェアを導入し、効果を実測する。
ア a
イ a、c
ウ b
エ b、c
解説
正解
ア a
解説
a この内容は、計画策定フェーズで実施する作業です。適用可能性を見極めるための概念検証は初期段階で行われます。
b この内容は、本格導入フェーズで行われる作業であり、計画策定フェーズではありません。
c この内容は、先行導入フェーズで行われる作業です。効果を実測するための先行導入は計画策定フェーズではありません。
問24
式は定期発注方式で原料の発注量を求める計算式である。a~cに入れる字句の適切な組合せはどれか。
解説
正解
ウ a 発注間隔、b 安全在庫量、c 現在の発注残
解説
定期発注方式は、一定の期間ごとに在庫を補充する発注方式です。発注の際には、納品時に安全在庫量だけが残るように発注量を計算して発注する必要があります。
下記の図のように、在庫量は時間とともに推移します。
次々回の納品日の納品直前には、安全在庫量だけが残るように、次回の納品日に商品を納品する必要があります。次回の納品日に納品されるべき量は、安全在庫量に加えて、次々回から次回の納品日までの期間に使用する量が含まれます。次々回から次回の納品日までの期間は発注間隔と呼ばれます。そのため、次回の納品日の在庫量は以下の計算式で算出することができます。
次回の納品日の在庫量=安全在庫量+発注間隔×毎日の使用予定量
しかし、実際には在庫が予定通りに使用されているとは限りません。そこで、現在から次回の納品日までの使用量を予測し、納品前の在庫量を計算します。次回の納品前の在庫量は以下の計算式で算出することができます。
次回の納品前の在庫量=現在の在庫量-(次回の納品日-発注日)×毎日の使用予定量
発注日から次回の納品日の期間は調達期間と呼ばれます。つまり、次回の納品日の納品前の在庫量は以下の通りに整理できます。
次回の納品前の在庫量=現在の在庫量-調達期間×毎日の使用予定量
そして、次回の納品日に必要な在庫量から納品前の在庫量を引くことで、発注量を算出します。以下の計算式で算出することができます。
発注量=安全在庫量+発注間隔×毎日の使用予定量-(現在の在庫量-調達期間×毎日の使用予定量)
これを整理すると、以下の通りになります。
発注量=(発注間隔+調達期間)×毎日の使用予定量+安全在庫量-現在の在庫量
最後に、すでに発注済みでまだ納品されていない分、いわゆる発注残があれば、それを発注量から引きます。これにより、最終的な発注量が決定します。
問25
史跡などにスマートフォンを向けると、昔あった建物の画像や説明情報を現実の風景と重ねるように表示して、観光案内をできるようにした。ここで活用した仕組みを表す用語として、最も適切なものはどれか。
ア AR
イ GUI
ウ VR
エ メタバース
解説
正解
ア AR
解説
ア AR(Augmented Reality)は、現実の風景にデジタル情報を重ねて表示する技術です。スマートフォンやタブレットなどを通じて、現実世界に仮想のオブジェクトや情報を重ねて表示することで、現実と仮想を融合させた体験を提供します。
イ GUI(Graphical User Interface)は、画面上に表示されるアイコン、ボタン、メニューなどの視覚的な要素を操作することで、コンピュータに対して命令や指示を行うためのインターフェースです。ユーザーが視覚的に直感的に操作できるようになります。
ウ VR(Virtual Reality)は、仮想の世界を完全に体験するための技術で、ヘッドセットなどのデバイスを用いて、視覚や聴覚を通じて完全に仮想の環境に没入することができます。
エ メタバースは、インターネット上に構築される仮想の共有空間のことで、ユーザがアバターを使って交流したり、活動したりすることができます。
問26
データサイエンティストの役割に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 機械学習や統計などの手法を用いてビッグデータを解析することによって、ビジネスに活用するための新たな知見を獲得する。
イ 企業が保有する膨大なデータを高速に検索できるように、パフォーマンスの高いデータベースを運用するためのシステム基盤を構築する。
ウ 企業における情報システムに関するリスクを評価するために、現場でのデータの取扱いや管理についての実態を調査する。
エ 企業や組織における安全な情報システムの企画、設計、開発、運用を、サイバーセキュリティに関する専門的な知識や技能を活用して支援する。
解説
正解
ア 機械学習や統計などの手法を用いてビッグデータを解析することによって、ビジネスに活用するための新たな知見を獲得する。
解説
ア この内容はデータサイエンティストの主要な役割です。データ解析を通じてビジネスのインサイトを得ます。
イ この内容はデータベース管理者やシステムエンジニアの役割です。
ウ この内容は情報システム監査人の役割です。
エ この内容はセキュリティエンジニアの役割です。
問27
個人情報保護法では、あらかじめ本人の同意を得ていなくても個人データの提供が許される行為を規定している。この行為に該当するものだけを、全て挙げたものはどれか。
a 事故で意識不明の人がもっていた本人の社員証を見て、搬送先の病院が本人の会社に電話してきたので、総務の担当者が本人の自宅電話番号を教えた。
b 新規加入者を勧誘したいと保険会社の従業員に頼まれたので、総務の担当者が新入社員の名前と所属部門のリストを渡した。
c 不正送金等の金融犯罪被害者に関する個人情報を、類似犯罪の防止対策を進める捜査機関からの法令に基づく要請に応じて、総務の担当者が提供した。
ア a
イ a、c
ウ b、c
エ c
解説
正解
イ a、c
解説
a この内容は緊急事態における提供であり、生命、身体または財産の保護のために必要であり、本人の同意を得ることが困難である場合には許可される場合が多いです。
b この内容は同意なしに行われる勧誘のための情報提供であり、個人情報保護法に違反します。
c この内容は法令に基づく要請に応じた情報提供であり、本人の同意がなくても許可される場合があります。
問28
次の事例のうち、AIを導入することによって業務の作業効率が向上したものだけを全て挙げたものはどれか。
a 食品専門商社のA社が、取引先ごとに様式が異なる手書きの請求書に記載された文字を自動で読み取ってデータ化することによって、事務作業時間を削減した。
b 繊維製造会社のB社が、原材料を取引先に発注する定型的なPCの操作を自動化するツールを導入し、事務部門の人員を削減した。
c 損害保険会社のC社が、自社のコールセンターへの問合せに対して、オペレーターにつなげる前に音声チャットボットでヒアリングを行うことによって、オペレーターの対応時間を短縮した。
d 物流会社のD社が、配送荷物に電子タグを装着して出荷時に配送先を電子タグに書き込み、配送時にそれを確認することによって、誤配送を削減した。
ア a、c
イ b、c
ウ b、d
エ c、d
解説
正解
ア a、c
解説
a この内容はAIを利用した文字認識技術を使ったデータ化の例です。
b この内容はRPAを導入した例であり、AIではありません。
c この内容はAIを利用した音声チャットボットによる効率化の例です。
d この内容はRFIDを使った例であり、AIの導入ではありません。
問29
ある企業が、顧客を引き付ける優れたUX(User Experience)やビジネスモデルをデジタル技術によって創出し、業界における従来のサービスを駆逐してしまうことによって、その業界の既存の構造が破壊されるような現象を表す用語として、最も適切なものはどれか。
ア デジタルサイネージ
イ デジタルディスラプション
ウ デジタルディバイド
エ デジタルトランスフォーメーション
解説
正解
イ デジタルディスラプション
解説
ア デジタルサイネージはデジタルディスプレイを使用した広告や情報表示のことを指し、業界構造の破壊とは直接関係がありません。
イ デジタルディスラプションはデジタル技術を用いて業界の既存構造を破壊する現象を指します。新しいビジネスモデルやUXによって、従来のサービスや製品が駆逐されることを意味します。
ウ デジタルディバイドは情報の利用能力の格差を指します。業界構造の破壊とは異なる概念です。
エ デジタルトランスフォーメーションは企業や産業がデジタル技術を利用してビジネスや業務を変革することを指しますが、必ずしも業界構造の破壊を意味するわけではありません。
問30
上司から自社の当期の損益計算書を渡され、“我が社の収益性分析をしなさい”と言われた。経営に関する指標のうち、この損益計算書だけから計算できるものだけを全て挙げたものはどれか。
a 売上高増加率、b 売上高利益率、c 自己資本利益率
ア a
イ a、b
ウ a、b、c
エ b
解説
正解
エ b
解説
a 売上高増加率は前年の売上高と比較して当期の売上高の増加率を計算するため、損益計算書だけでは算出できません。
b 売上高利益率は売上高に対する利益の割合を示す指標であり、損益計算書から計算できます。
c 自己資本利益率は自己資本に対する利益の割合を示す指標であり、損益計算書と貸借対照表の情報が必要です。